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【中国編】越境ECとは? 日本企業が取り組む際のポイントやおすすめのサイトも紹介します

今現在、「越境EC」の市場規模が拡大していることはご存知でしょうか?

経済産業省が2022年8月に発表した『令和3年度電子商取引に関する市場調査』の報告書によると、2019年時点の世界の越境EC市場規模は7,800億USドルと推計されるのに対し、2026年にはその値が4兆8,200億USドルにまで拡大すると予測しているのです。

このように越境EC規模が急速に広がっている今、越境先の国としては特に中国が注目されています。

この記事では、そもそも越境ECは何かといったところから、中国へ向けた越境ECのやり方までをご紹介します。

越境ECとは

越境ECはインターネットを活用して国内から海外へ商品を販売する電子商取引のことです。通常のECとは違い、購入者が国外にいるというのが大きな差です。
そして、昨今のスマートフォンの普及が進んでいるという技術的な側面とコロナ禍でという環境的側面により、市場が急成長しています。コロナ禍において、外出ができないために海外に行く代わりに海外の商品をスマートフォンを用いて手軽に購入する人が増加したのです。

インバウンド観光客が増えると越境EC市場も伸びる傾向にあります。
インバウンド観光客は旅行中に購入した商品を帰国後に越境ECによってリピート買いする他、日本で見つけた商品を自分で持ち帰る代わりに帰国後に購入する場合があります。
海外の商品を非常に気に入ったが気軽に現地に行けるわけではない人や荷物を増やしたくない人にとって、越境ECに対応しているショップは非常に便利なのです。

また、海外で販売される日本製品は、多くが高値で売られています。一方、日本の店で売られている商品は業者を挟まないため、観光客にとっては安価で売られています。それに加えて現在のトレンド商品も、流行に敏感な観光客にとっては魅力的です。そのため、安価な商品やトレンド商品を帰国後に手軽に購入できるという点でも、インバウンド観光客へ向けた越境ECショップは需要があるのです。
2023年はコロナ禍も落ち着き、インバウンド観光客が増加傾向にあるので越境ECを展開するチャンスの年と言えます。

越境ECと日本企業

そして現在、多くの日本企業が越境ECに乗り出しています。
日本貿易振興機構の2021年度「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」によると、ECを利用または検討している中小企業のうち、海外向けの販売を行っているまたは想定している企業が69.2%に上ることがわかりました。そのうち、越境ECを想定している企業は44.1%であり、コロナ禍において越境ECの活用及び検討が進んだことが明らかとなりました。

越境ECは国内だけでなく海外へと販路を拡大することができる点や現地に実店舗を持たずとも低コストで出店することができる点がメリットとして挙げられ、昨今のコロナ禍といった潮流も相まって、日本企業の注目を集めているのです。

そして、経済産業省が発表した「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によれば、2021年における中国の消費者向け越境ECにおいて日本からの購入額は2兆1,382円と発表されています。実際に数値として見ても中国へ向けた越境ECの需要は高いのです。

越境ECにおける日本企業の強み

それでは、越境ECを行う上での日本企業の強みは一体何なのでしょうか。
ここでは日本企業による越境ECの持つ強みについて解説します。

製品・企業の信頼性の高さ

日本の製品や企業の信頼性は世界的に見ても高いとされています。

残念ながら、海外のECでは偽物や不良品が届くことが多い現状にあります。そのため、消費者の想定通りの品物が届くことが多い日本の製品やそれを販売している日本の企業は、それだけで価値があるのです。

更に日本製品は質が高いことでも定評があります。海外の卸売り業者ではなく、日本企業が直接日本製品を越境ECで販売することにより、商品の信頼性を更にアピールすることができます。

充実したサポート

日本企業は梱包の丁寧さや充実したカスタマーサポートなど、行き届いた顧客サポートも魅力的です。

越境ECにおいてもこの点をアピールすれば、高い顧客満足度の獲得とリピート買いを促すことにも繋がるでしょう。ネイティブスピーカーなど、越境先に精通した人材を雇用することで、この強みを最大限に活かすことができます。

販売ノウハウを活かせる

国内向けにEC事業を展開している企業ならば、そのこれまでに蓄積されたECにおけるノウハウを越境ECにも活かすことができます。

具体的に誰向けへ売るのかといったターゲットを定め、どのように商品を宣伝し売るのかといった一般的なマーケティングのノウハウは越境ECにおいても応用できます。

中国の越境EC市場

ここまで日本企業が越境ECを行う意義について見てきましたが、では何故中国市場が越境先の国として注目されているのでしょうか?

経済産業省による調査では、中国においての2021年の越境EC市場規模は1773億USドル、前年比17.4%の増加と推計されました。2023年の市場規模は2209億USドルとなると推測されており、前年比8.2%の増加が見込まれています。実に世界の半数以上のEC市場を中国が占めており、圧倒的な規模を有しているのです。

そして先に見たように、2021年における中国の消費者向け越境ECにおいて日本からの購入額は2兆1,382円と発表されています。実際に数値として見ても、中国へ向けた越境ECの需要は高いのは明らかです。

中国の越境ECの特徴

ここまでで越境EC先として中国が効果的であることがわかりました。

しかし、いきなり越境ECを始めても、越境先の国のEC市場の特徴を知らないと上手く商品を売ることが出来ない恐れがあります。

ここでは、中国の越境ECの特徴について4点説明します。

1.EC市場の大部分をアリババグループが占めている

中国EC市場の50.8%をアリババグループが占めており、2位の京東は15.8%と、実にEC市場を独占しているといっても過言ではないほどに、アリババグループは国内で圧倒的な支持を得ています。

アリババグループがここまで人気な理由としては、2点考えられます。

1点目は、高品質の商品の販売を徹底している点です。
アリババグループ、特に「天猫国際」というECサイトへ出店するための審査は厳しいものとなっています。そのため、売られているものの品質はある程度担保されており、偽物が横行する中国ECサイト市場において評価されているのです。

2点目は、最新のトレンドに対応している点です。
アリババはECプラットフォーム上で何が売れているかなどの動向を分析し、そして消費者のニーズに応えた商品を数多く出品しています。そのため、常にトレンドに合った商品を購入することができるという点で消費者にとって魅力的なのです。

2.インフルエンサーマーケティングが盛ん

中国においては「ライブコマース」と呼ばれる、インターネットを通じた動画のライブ配信と物販を組み合わせた販売方法が多く取り入れられています。

中国のインフルエンサーはKOL(Key Opinion Leader)と呼ばれており、写真や文章だけでは伝わりにくい商品の情報を実際にKOLが配信して伝えることで、より鮮明に消費者に届けられる手法として人気が高いのです。視聴者の質問にリアルタイムで配信者が答えられるという点で、消費者が安心して商品を購入しやすくなります。

IResearch社の調査によると、2020年時点で中国におけるインフルエンサー経由でのEC市場規模は約3000億元に達すると発表されています。このため、ライブコマースを越境ECを行う際に取り入れるというのも売り上げ向上の施策の一つと言えます。

しかし、起用するKOLの信頼性には注意しなければいけません。KOLは基本的にSNSへのフォロワーへ向けて商品を紹介するのですが、誤った情報を一度でも流してしまうと信頼度が低下し、フォロワーが減少し、ライブコマースの効果もそれに伴い低下するということも当然あります。KOLの今現在のフォロワーの数も重要ですが、どのKOLを起用するかについては充分検討したほうがよいでしょう。

3.大半がモバイル決済利用を利用

今や中国においてはスマートフォンやタブレットによって端末上で支払いを行う「モバイル決済」が広く普及しており、継続的に拡大を続けています。デロイトトーマツは中国人の約8割に当たる「6億人」がスマホ決済を利用している、と推定しています。現金を持ち歩かない中国人も多いと言われているほどです。
中国でモバイル決済がここまで普及するに至った理由としては、2点考えられます。

1点目は、導入コストの低さです。
中国では与信調査が厳しくクレジットカードを作ることが難しいため、以前までは現金以外の決済手段としては銀行でのデビットカードが主流でした。そしてスマートフォンの普及が広がるにつれて、簡単に導入することができるキャッシュレス決済方法として、モバイル決済が注目を集めるようになりました。

2点目は、新型コロナウイルス感染拡大の中において便利な決済方法であったことです。
モバイル決済では、QRコードを読み取ることで簡単に決済が行えるため、新型コロナウイルスの感染拡大防止に繋がるとして人気の決済方法となりました。また、中国ではQRコードのオフライン利用だけではなく、ECモールの決済手段としてもモバイル決済を推進しています。コロナ禍で外出して商品を買うよりもECサイトで物を買うようになった人が増えたことで、モバイル決済の普及率も高まったのです。

中国への越境ECを行う際には、モバイル決済の導入を考えるべきでしょう。

4.カスタマーサポートはチャットが主流

中国のECサイトにおいては、購入前に顧客が商品に関する疑問や不安点を店側に聞き、納得のいくまで回答を得てから買うといった慣習がよく見られます。そして、その際にはチャットツールを使う場合が多いのです。

そのため、多くのECサイトが問い合わせ対応のためのチャットツールを装備しています。
上手くいけば、チャットで新商品を紹介したり、まとめ買いなどを勧めることで購入を促すことができます。しかし、そのためには中国語で対応しなければいけません。

中国越境ECに参入する場合は、自社ECサイトであればチャットツールの装備をすること、また中国語対応可能な人員を採用することを検討した方がよいでしょう。

越境ECの始め方

それでは、実際中国へ向けた越境ECを行うには何をすれば良いのでしょうか?
ここでは、中国への越境ECの始める方法について3つ紹介します。

1.中国のECモールに出店する

1つ目の方法は、「中国のECモールに出店すること」です。
この方法でなら、中国に法人を作ったり、自社のECサイトを作成したりしなくても越境ECを始めることができます。 中国のECサイトについては詳しくは後述しますが、アリババグループの天猫国際(Tmal Globall)などに出店するのがオーソドックスな方法になります。

デメリットとしては、ECモールの審査を通らないと出店できない点や進出先のECモールへのノウハウがない場合は専門の代行業者のサポートが必要な点等が挙げられます。

2.中国越境EC用の自社ECを作成する

2つ目の方法は、「中国越境EC用の自社ECを作成する」ことです。
近年中国のECモールに参入するための審査が厳しくなってきています。そこで中国消費者向けの自社ECサイトを作成すると審査を気にせず出店できるようになります。
元々日本語で提供している自社 EC サイトがある場合は、中国からのアクセスでも不自由なく閲覧できるように多言語化することで、越境 EC に対応できます。この場合の配送は、EMSによる直送が主になります。

この方法のデメリットとしては、集客は自社で行う必要があるという点と多言語ECサイトを作成するにあたってのノウハウが必要な点が挙げられます。

3.WeChatミニプログラムで出品する

3つ目の方法は、「WeChatミニプログラムで出品する」ことです。
中国のLINEである「WeChat」の中には「WeChatミニプログラム」という出店機能が存在します。
比較的参入が簡単で決済機能も備わっているため、利便性が非常に高い機能で簡単に越境ECを始めることができます。

デメリットとしては、参入ハードルが低い分出店数も多いため、知名度のない商品やブランドは集客が難しい点が挙げられます。

中国向けおすすめECサイト

次に、中国のECモールに出店する方法を取った場合、おすすめのECサイトを4つ紹介します。

1.天猫国際(T-MALL GKOBAL)

天猫国際は、アリババグループが2013年に開設したBtoC向けショッピングモール型ECサイトであり、中国シェア1位を誇るECでもあります。
出店審査は厳しく、審査条件としては、中国での法人登記かつ、中国での商標登録書や販売権利書を取得することなどがあります。出店するハードルは高いですが、その分出店できれば商品や企業の信頼性が担保されます。近年中国では商品の信頼性が重要視されているので、ここに出店するだけで商品の信頼性をアピールすることができるでしょう。
また、天猫国際には資生堂や小林製薬、パナソニックなど多くの大手日本企業が出店しています。
売れ筋としては、食品や服、アクセサリー等の商品が挙げられます。

2.京東商城(JD.com)

京東商城は、天猫グループに次いで人気の直販型越境ECです。2015年6月には日本製品専門サイト「日本館」をオープンし、2020年の流通総額は39兆6,578億円を超えているなど、日本が出店しやすいECサイトと言えます。
物流ネットワークの強さが特徴で、巨大な自社倉庫を構えての迅速な対応を売りにしています。国際物流を手掛けるヤマトグローバルロジスティクスジャパンと提携しているため、日本企業に対する出店・出品の万全なサポート体制が整っている点も魅力的です。

3.taobao(タオバオ)

taobaoはアリババグループ傘下のCtoCプラットフォームです。
一般人が出品することが多いということで審査がゆるいため、簡単に出品することができます。モノだけでなく、「動画編集」「翻訳」といった無形のサービスも販売されているのが特徴で、利用層も幅広い総合的なサイトです。
また、ライブコマースが積極的に取り入れられているECサイトでもあります。

4.拼多多(Pinduoduo)

拼多多は消費者を中・低所得者に定めたBtoC向けのプラットフォームです。
消費者同士で共同購入をすることで安く商品が手に入ることを売りにしており、中国の地方に住む人を中心に利用者が増えています。
モバイルユーザーが増加している中国の状況に合わせて、共同購入者をSNSで募ったり欲しい商品について拡散することで割引を受けられるといったサービスを提供しているので、商品を効率よく宣伝できます。

終わりに

いかがだったでしょうか?

世界の中でも中国EC市場は圧倒的1位を誇り、その規模は今も拡大し続けています。

EC販路の拡大先として中国もぜひ検討してみましょう。

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