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上代とは?商品取引で知っておきたい基本用語をわかりやすく解説!

商品の取引を行う際、見積書や納品書に「上代」という単語が登場することがあります。
これは商品の流通において、流通業者の間で使われる専門用語なのですが、普段目にしない言葉であるためなにやら難しく感じてしまいますよね。

しかし上代は決して理解が難しい用語ではありません!

今回の記事では上代について、類似した用語と併せてわかりやすく解説していきます。

上代とは、顧客への販売価格のこと

上代とはなにか?という疑問に結論から答えると、「販売価格」のことです。

商品は「メーカー→卸売業→小売業→消費者」という流れで流通します。
このうち「小売業」が「消費者」に商品を販売するときの価格が上代です。

例えば家電量販店に行くと冷蔵庫や洗濯機に値段が書いてありますね。この値段が上代です。

下代とは、仕入れ価格のこと

上代という用語と併せて抑えたい用語が「下代」です。
下代は「仕入れ価格」を意味しています。

もう少し具体的にいうと、「卸売業」から「小売業」への仕入れ価格です。

再び家電量販店の例をあげましょう。
通常消費者に売るための冷蔵庫や洗濯機といった商品は、家電量販店が卸売業者である問屋から仕入れます。
このときの仕入れ価格が下代です。

下代の計算方法

下代は、その計算方法も併せて抑えると良いでしょう。
簡単な掛け算で求めることができます。

下代の計算式は、この公式を覚えましょう

・上代×掛け率

上代は先ほど説明した通り、小売業者がお店で売る時の販売価格でしたね。
そして掛け率は、商品の原価率と同じことです。

例えば50,000円の商品を販売して掛け率を60%とした場合、下代はいくらになるでしょうか?

答えは50,000×0.6=30,000円ですね。

掛け率が大きければ大きいほど利益は小さくなります。
例えば同じく上代が50,000円であっても、掛け率が80%であれば下代、つまり仕入れ価格は40,000 円となりますね。

掛け率60%のときには30,000円で仕入れられたため、利益が10,000円マイナスになる計算です。

下代は値下げ交渉ができる?

小売店であれば、できるだけ販売に対する利益を大きくしたいですよね。
利益を上げるには、掛け率を上げるか下代を下げる必要があります。
では下代を下げることは可能なのでしょうか?

結論、可能です。

メーカーや卸売業者は、必ずしも同じ商品を全ての取引先に同じ金額で卸しているわけではありません。

たくさん仕入れてくれる取引先や、長く取引を継続してくれている取引先に対しては、下代を低く設定していることもあります。

よって関係性の深い取引先に対しては、下代の交渉の余地があるといえるでしょう。

上代・下代と似た、価格に関する用語

上代・下代の他にも、価格を示す流通用語はたくさんあります。

定価

「定価」とは、メーカーが指定した小売価格のことです。

上代との違いですが、上代の場合小売店はその価格から値引きをすることができます。
しかし定価の場合、セールなどを行ってその価格以外での販売をすることはできません。

しかし全てのメーカーが定価を定めてしまった場合、市場価格はメーカーによってコントロールされてしまう事態になります。

これでは自由競争が妨げられてしまうということで、いわゆる独占禁止法によって定価を定めることは原則禁止されています。

【独占禁止法2条9項】
「不公正な取引方法」として、「相手方に対しその販売する当該商品の販売価格を定めてこれを維持させることその他相手方の当該商品の販売価格の自由な決定を拘束すること」を禁じている。

このように原則として禁止されている定価の設定ですが、正当な理由とともに設定されていたり、書籍や音楽CDといった一部著作物であれば認められています。

オープン価格

続いて「オープン価格」とは、小売店が自由に決めることのできる販売価格を意味します。
つまり、下代(仕入れ価格)はあるけれど上代(販売価格)は設定されていないという状態です。

家電などでよく見られる価格表記ですね。

小売店からすれば、人気があって品薄になっている商品の価格を高く設定することができるため、利益をより多く得やすいです。

反対にもし人気がなく在庫が余っている商品があれば、価格を大きく下げて在庫を減らすことができます。
オープン価格でない場合、大幅な値下げは注意が必要になります。目安となる金額がある場合、そこから大幅に値下がりしているのを見た顧客はその商品に人気がないと感じてしまうからです。

しかしオープン価格も万能ではなく、デメリットがあります。
それは安さのアピールがしにくいことです。

「メーカー希望小売価格10,000のところ、今なら30%OFFの7,000円で売ります!」と言われたらお得に感じますよね。

しかしオープン価格の場合はメーカーなどによって価格の目安が決められていないため、顧客から「その割引は本当に安くなっているのか?」と疑問に思われてしまう可能性が高まります。

メーカー希望小売価格

続いての「メーカー希望小売価格」は、読んで字の如くです。
メーカーが小売店に対して、「この商品は〇〇円で販売してほしい!」と希望した価格になります。

メーカー希望小売価格はあくまで希望であり、この価格が設定されている場合でも価格の裁量権は小売店側にあります。

理由は先ほど説明したように、メーカー側によって価格をコントロールすることは法律で禁止されているからですね。

参考上代

最後に「参考上代」という用語を紹介します。
上代という言葉が使われていることからわかるように、こちらも小売店における販売価格を意味する言葉の1つです。

意味としては先ほどのメーカー希望小売価格と同じです。
あくまで希望であり、価格の裁量権は小売店が持っています。

さまざまな価格の種類がある理由

このように価格の表示方法にはさまざまな種類があり、複雑に感じてしまいますね。
色々な種類の表示方法が登場した理由の1つが、公正な取引のためです。

たとえばメーカー希望小売価格とオープン価格を例に挙げて説明をします。
オープン価格の説明の際に、オープン価格は家電などでよく見られるとお伝えしました。

実はこれにはある事情があります。
過去、家電がメーカー希望小売価格ありで販売されていた時には、どの家電量販店もこぞって20%や30%の大幅割引を行っていました。

どこの家電量販店も同様に大幅に割引してしまうと、相対的には安くなっていないのに割引だけが強調されるという状況が生まれます。

しかしそのような状況を知らない消費者からしたら、強調された20%割引の表示を見て「とても安い」と感じてしまいます。

実際にはもともとの金額で売られている家電量販店はほとんどないにもかかわらず、消費者が安いと錯覚してしまうのは適切とは言えませんよね。

そのため家電はオープン価格となったという経緯があるのです。

正しい用語の使い方を知ってより円滑な取引をしよう

業者の間で使用される専門用語は、普段聞き馴染みがなく難しく感じてしまいますが、1つ1つの意味自体はそれほど難しいものではありません。

わからない言葉が登場したら都度理解するようこころがけ、取引業務をより円滑にできるようになりましょう。

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